令和元年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(グローバリゼーションの再評価と日本の経済連携協定の効果分析 )調査報告書
報告書概要
この報告は、グローバリゼーションの再評価と日本の経済連携協定の効果について分析した調査報告書である。
本調査は、米中貿易摩擦の長期化により先行き不透明感が高まり、グローバル・バリュー・チェーンへの影響が懸念される中で、日本が推進する自由で開かれたルールベースの通商システムの必要性と経済連携協定の戦略的意義を整理することを目的としている。調査は、グローバリゼーションの現状評価および今後の潮流に関する分析と、2018年末に発効したCPTPPと2019年2月に発効した日EU・EPAのメガEPAの効果分析を並行して実施された。
グローバル化の進展に関する分析では、日本の輸出入および外国直接投資が対GDP比で拡大傾向にある一方、製造業における就業者割合が大幅に減少していることが確認された。また、グローバル化に伴う格差拡大として、上位1%の収入割合が1980年以降拡大していることが示された。国際競争力ランキングでは、日本は1990年代に低下した後、最近10年間はほぼ横ばいで推移しており、政府の効率性やビジネス効率性で後れを取っている状況が明らかになった。
メガEPAの効果分析では、関税削減により輸出しやすくなっている効果が確認されたが、EPA利用による効果は様々な要因によって決定され、貿易促進がEPA利用のみによる効果であるとは特定できない点に留意が必要であることが指摘された。また、企業の競争力は基本的に製品やサービスの品質、価格、営業力の要素が大きく働き、EPA活用戦略は営業力の一環として位置づけられることが示された。今後の課題として、経営層の意識向上と全社的な取り組み体制の構築が必要であることが明らかになった。
