平成31年度戦略的基盤技術高度化・連携事業(中小企業技術革新制度(SBIR)に関する調査)報告書
報告書概要
この報告は、中小企業技術革新制度(SBIR)に関する調査について書かれた報告書である。
我が国では平成11年に日本版SBIR制度が創設され、中小企業・ベンチャー企業向けの補助金等目標額は110億円から460億円に増大し、実際の支出額も400億円を超えるなど一定の成果を上げてきた。しかし制度創設から20年間で中小企業・ベンチャー企業を巡る内外環境は大きく変化しており、更なるイノベーション活性化を図るため制度の見直しが不可欠となっている。
平成31年度調査では、米国のSBIR・STTR制度、イギリスのSBRI制度、EUのSME Instrument制度、ドイツ・イスラエル・シンガポールの研究開発型スタートアップ支援施策を対象とした文献調査と現地インタビュー調査を実施した。特に米国、EU、イスラエルについては制度所管省庁、対象企業、支援機関、学識者等に対する現地調査を行い、プログラムマネージャーの役割、企業審査方式、制度運用の実態等を把握した。
また学識者や中小企業・スタートアップ経営者、投資家等8名で構成される検討会を全5回開催し、日本版SBIR制度の見直しの方向性について議論を行った。現状の課題として、省庁間の連携不足、統一的な制度運用ルールの不在、プログラムマネージャー体制の未整備等が指摘された。
見直しの方向性としては、内閣府による統一的な制度運用、プログラムマネージャー体制の構築、企業の成長段階に応じた支援の充実等が提示された。プログラムマネージャー人材については、国立研究開発法人、事業会社、ベンチャーキャピタルからの確保を想定し、出向や業務委託等の形態で週3日以上の勤務やフルタイム雇用が望ましいとされた。
