令和元年度化学物質安全対策(すそ切り以下事業者排出量推計手法、オゾン層破壊物質及び低含有率物質の排出量推計手法に関する調査)報告書
報告書概要
この報告は、経済産業省が委託した令和元年度化学物質安全対策における「すそ切り以下事業者排出量推計手法」について書かれた報告書である。
我が国のPRTR制度は、特定化学物質の環境への排出量把握法に基づいて実施されており、化学物質取扱事業者からの届出とともに、国による届出外排出量の推計が行われている。本調査では、届出外排出量のうち対象業種を営む事業者からの排出量、いわゆる「すそ切り以下事業者」の排出量推計に焦点を当てている。すそ切り以下事業者とは、常用雇用者数21人未満の事業者や年間取扱量1トン未満の取扱に伴う排出を行う事業者を指している。
推計方法として、全国出荷量等に基づくベース物質の総排出量推計、アンケート調査に基づく追加物質の総排出量推計、同じくアンケート調査に基づく追加排出源からの総排出量推計の3つの方法を併用している。対象となる排出源は、塗料、接着剤、粘着剤、印刷インキ、工業用洗浄剤、燃料蒸発ガス、ゴム溶剤、化学品原料、剥離剤、滅菌・殺菌・消毒剤、表面処理剤、試薬、繊維用薬剤、プラスチック発泡剤など多岐にわたっている。これらの排出源から、主としてVOC(揮発性有機化合物)の排出が対象となっている。
推計対象は製造業をはじめとする24業種のすべてであり、462物質のうちオゾン層破壊物質とダイオキシン類を除く447の対象化学物質が含まれている。推計は全国レベルから都道府県別まで行われ、事業者規模や取扱量による排出割合の算定も実施されている。さらに、推計精度向上のため取扱状況等に係るアンケート調査も実施され、今後の課題として対象化学物質の見直しへの対応や推計対象範囲の拡充などが挙げられている。
