令和元年度エネルギー需給構造高度化対策に関する調査等事業(福島県における再生可能エネルギー導入促進支援のための調査)調査報告書
報告書概要
この報告は、福島県における再生可能エネルギーの導入状況と導入支援策による効果について書かれた報告書である。福島県は復興の大きな柱として「再生可能エネルギー先駆けの地」を目指し、2040年頃を目途に県内の1次エネルギー需要量の100%以上に相当するエネルギーを再生可能エネルギーから生み出すという目標を設定している。国としても「福島新エネ社会構想」を策定し、阿武隈山地や県沿岸部における再生可能エネルギー導入拡大に向けて送電線整備を支援するとともに、この送電線に接続する発電設備等の導入支援を行っている。
本調査では、これまでの再生可能エネルギー導入支援策による導入状況やその効果、福島県内で期待される今後の再エネ導入可能量や各事業者による最新の事業計画状況、それらの実現可能性と課題等を調査・分析し、更なる再エネ導入拡大に向けた対応策を検討するための基礎資料作成を目的としている。実施項目として、再生可能エネルギーの導入状況と導入支援施策による効果の調査・整理、再生可能エネルギーのポテンシャル及び導入可能量の算出、対応策の検討等を行った。
調査結果では、太陽光発電について電気料金の値上がりとともに自家消費の優位性が高まっており、売電から自家消費への転換促進が必要であることが示されている。また、耕作放棄地の増加傾向や帰還困難地域における農地の太陽光発電による有効活用への期待が大きいとされている。風力発電においては、陸上風力は風況が良く立地条件も良い場所では既に導入や事業化計画が進んでいるが、会津地域や阿武隈北部地域では未開発の地域が残されており、インフラ面での条件改善により導入拡大が期待される。洋上風力については、陸上風力が頭打ちになりつつある中で、大規模な風力発電事業展開において期待が寄せられている。
