令和元年度原子力の利用状況等に関する調査(国内外の原子力産業に関する調査)報告書

掲載日: 2020年12月10日
委託元: 経済産業省
担当課室: 資源エネルギー庁電力・ガス事業部原子力政策課
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報告書概要

この報告は、国内外の原子力産業の現状と課題について包括的に調査し、今後の産業維持・発展に向けた方策を検討した報告書である。世界の原子力発電は約400基が運転中であり、今後も新興国を中心に伸長が予測されている一方、日本では福島第一原子力発電所事故以降、全原子炉が一時停止し、原子力産業は大きな影響を受けた。国内調査では、電気事業者の原子力関連支出が大幅に減少し、原子力産業従事者数も減少傾向にあることが明らかとなった。建設・運転・廃炉の各段階において複雑なサプライチェーンが形成されており、特に廃炉分野では今後24基の廃炉が予定されている。海外調査では、米国、英国、ロシア、中国の原子力産業動向を詳細に分析し、各国の政策、規制、産業構造、技術開発状況を把握した。米国では既存炉の運転期間延長や小型モジュール炉開発が進む一方、建設コスト増大が課題となっている。英国では新設計画と並行して廃炉事業が本格化し、産業クラスター形成による技術力維持に取り組んでいる。ロシアは国営企業ROSATOMによる垂直統合型の産業構造で海外展開を積極的に推進している。中国は急速な原子力発電所建設により世界最大の建設市場となり、独自技術開発も加速している。今後の日本の原子力産業については、既設炉の安全で安定的な運転継続、将来の建設能力維持、次世代炉開発による産業活力向上が重要な課題として指摘されている。