令和元年度戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン事業における効果的な情報発信、事業化支援の在り方等に関する調査事業)調査報告書
報告書概要
この報告は、戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン事業)における効果的な情報発信と事業化支援の在り方について書かれた調査報告書である。
中小企業庁が実施するサポイン事業では、申請事業者への手続き情報発信や川下企業への研究開発成果の情報発信に課題を抱えており、これらの解決を目的として新たなWebサイトの構築と運用を通じた政策改善の検討が行われた。本事業では三つの主要なタスクが実施された。まずWebサイト構築では、申請事業者、サポイン事業者、川下企業を主なユーザーとして想定し、事業概要や申請方法、研究開発成果等を発信するサイトを制作した。動作確認、更新作業マニュアル作成、PRツール制作も含めて総合的なサイト運営体制を整備した。次に平成30年度事業終了分の事例データ作成では、川下企業が技術シーズを探索する際に重視するセールスポイントや具体的成果を効果的に表示するデザインフォームを検討し、研究開発成果報告書の内容を基にしたアンケート調査を実施した。さらにサポイン事業の効果的な情報発信と事業化支援に関する調査では、川下企業への電話インタビューを通じて技術シーズの探索方法や重視する内容を把握し、今後の課題と方向性を検討した。調査結果から四つの主要課題が明らかになった。新規応募企業の拡充については、事業管理機関との連携強化や成功事例の紹介により申請ハードルを下げる必要がある。オープンイノベーション対応では、社会課題解決や破壊的イノベーション創出の視点からの技術探索に対応した情報発信が求められている。サポイン終了後のフォローアップ強化では、事業管理機関による支援格差の解消と公的支援機関への案件移管システムの確立が必要である。また横断的なデータ活用を前提とした情報管理では、統一的なシステム導入による基礎データの一元管理と定期的な情報更新体制の構築が重要である。
