令和元年度商取引・サービス環境の適正化に係る事業(生物多様性総合対策事業)委託事業報告書

掲載日: 2021年1月21日
委託元: 経済産業省
担当課室: 商務・サービスグループ生物化学産業課
元の掲載ページ: 掲載元を見る
令和元年度商取引・サービス環境の適正化に係る事業(生物多様性総合対策事業)委託事業報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、令和元年度商取引・サービス環境の適正化に係る事業(生物多様性総合対策事業)について書かれた報告書である。本事業は、一般財団法人バイオインダストリー協会が経済産業省から受託して実施したものであり、生物多様性条約の下での遺伝資源へのアクセスと利益配分、現代バイオテクノロジーによるバイオセーフティに関する課題への総合的対応を目的としている。

報告書では、2050年までに「自然と共生する世界を実現する」ビジョンに向けた「ポスト2020国際生物多様性枠組み」の策定作業における動向把握が重要な要素として位置づけられている。また、塩基配列情報等のデジタル配列情報の取扱いが大きな課題となっており、これに関する見解の提出や調査研究の結果についても分析を行っている。

各国におけるABS関連法令の整備状況については、国毎に法令内容が異なるため、国内利用者が円滑に海外遺伝資源にアクセスできる環境整備が必要である。この一環として、インドネシアのABS法令の現地調査及び各国ABS法令等の取りまとめを実施し、ウェブを通じたABS関連情報の発信や相談窓口での対応も行っている。

バイオセーフティに関しては、カルタヘナ法に関連して遺伝子組換えウイルスの取扱いが重要な検討課題となっている。特に、遺伝子組換えバキュロウイルスを用いて生産された試薬について、最終製品中への残存が否定できない状況での取扱いに関する調査を実施し、対応策を検討している。創薬研究においてバキュロウイルス発現タンパク質が多用されているが、現状では遺伝子組換え実験の申請手続きが必要であり、研究効率の観点から課題が指摘されている。

本事業は産業界専門家や学識経験者から構成されるタスクフォース委員会の指導の下で実施され、生物多様性条約及び関連議定書の締約国として適切に対応していくための基盤となる成果を上げている。