平成31年度「高度な自動走行システムの社会実装に向けた研究開発・実証事業:専用空間における自動走行等を活用した端末交通システムの社会実装に向けた実証」成果報告書
報告書概要
この報告は、専用空間における自動走行等を活用した端末交通システムの社会実装に向けた研究開発・実証事業について書かれた報告書である。本事業は、2020年から2030年頃の実現が期待される、限定された専用空間での自動運転技術を活用した新しい交通システムの社会実装を目的としている。端末交通システムは、鉄道やバス等の基幹交通と自宅や目的地との間を補完するラストワンマイルモビリティとして位置づけられる次世代の交通手段である。
2019年度は、より早期の社会実装に向けて、低速自動運転車両でのサービス実証、レベル4での運用に向けた開発と実証、中型自動運転バスの実証評価、自動運転に関する人材育成の4つの研究開発項目を実施した。福井県永平寺町では、多数車両の運用実証を1カ月間実施し、その後6カ月間の長期移動サービス実証を行った。多数車両実証では10台の車両を用い、同時走行最大6台で運用し、乗車者総数2,457人、1日平均98.3人の利用があった。長期実証では実用化を見据えた運行ダイヤを導入し、乗車者総数3,570人、1日平均29.3人の利用実績を記録した。
沖縄県北谷町では、地域企業出資による事業化準備会社が設立され、約6カ月間の長期移動サービス実証を実施した。約1.6キロメートルの走路で2台同時運用により、乗車者総数13,781人、1日平均100人の利用があった。また、レベル4での運用に向けた技術開発として、AI技術を活用した画像認識システム、横断歩行者認識、自動発進制御システムの開発を進めた。さらに、駐車車両回避支援ソフトウェアや遠隔監視システム、複数台車両制御システムの開発も実施した。
中型自動運転バスについては、事業性向上のため乗車定員を増やした車両の開発を行い、2019年6月に全国から実証実験を実施するバス運行事業者の公募を実施した。13事業者から応募があり、茨城交通、大津市・京阪バス、神奈川中央交通、神姫バス、西日本鉄道の5事業者を選定した。西日本鉄道によるプレ実証では、朽網駅から北九州空港までの約10.5キロメートルの既設バス路線で17日間の実証を事故なく完了した。自動運転に関する人材育成では、分野横断的な人材の必要性を調査し、スキル標準の活用検討を通じた提言をまとめた。
