令和元年度産業経済研究委託事業(経済産業政策・第四次産業革命関係調査事業費(第四次産業革命時代におけるヘルスケアサービス提供分野のデジタルトランスフォーメーションに関する調査研究))調査報告書

掲載日: 2021年2月18日
委託元: 経済産業省
担当課室: 経済産業政策局産業構造課
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令和元年度産業経済研究委託事業(経済産業政策・第四次産業革命関係調査事業費(第四次産業革命時代におけるヘルスケアサービス提供分野のデジタルトランスフォーメーションに関する調査研究))調査報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、第四次産業革命時代におけるヘルスケアサービス分野のデジタルトランスフォーメーションについて書かれた報告書である。我が国のヘルスケアサービス分野においては、高齢化に伴うサービスニーズの質・量面での変化、提供体制の変化、地域格差、従事者の長時間労働や人手不足といった様々な課題が指摘されている状況にある。一方で、AIを活用した診断・問診やロボット技術によるサービス効率化など、新たなデジタル技術の活用が現場で始まっている。本調査では、ヘルスケアサービス分野における課題を経営、働き方、質の観点から整理し、経営に係る課題として赤字経営や医師の診療科偏在、高齢者向けサービス需要の急増、アクセスの地域格差を、従事者の働き方に係る課題として医師の長時間労働や看護師不足を、サービスの質に係る課題として安全性向上やポリファーマシー、フォーミュラリー導入促進を特定している。海外事例の調査では、米国においてカイザーパーマネントをはじめとした民間保険会社によるオンラインサービスを中心とした疾病予防のためのデジタル技術導入、台湾におけるFoxconnを中心とした大手テクノロジー企業の医療IT分野進出と政府主導による全国的な電子カルテ統合システム構築、中国における顔認証搭載自動受付ロボットやAIドクターによる無人クリニックの登場など、各国において市場原理あるいは政府主導によるデジタル技術導入インセンティブが設けられていることが明らかとなった。研究会における議論では、病院のトップマネジメントと現場医師間のデジタルに対するジェネレーションギャップ、デジタル導入による一時的な業務量増加への懸念、技術間の連携不足、地方でのDtoDコンサルニーズに対するインセンティブ設計の不備などが、デジタル導入が進まない主要な要因として特定されている。