令和元年度中小企業取引適正化対策事業(映画制作現場の実態に関する調査)映画制作の未来のための検討会報告書

掲載日: 2021年4月20日
委託元: 経済産業省
担当課室: 商務情報政策局コンテンツ産業課
元の掲載ページ: 掲載元を見る
令和元年度中小企業取引適正化対策事業(映画制作現場の実態に関する調査)映画制作の未来のための検討会報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、デジタル時代の変革期を迎えた日本の映画産業の持続可能な発展について書かれた報告書である。経済産業省委託事業として実施された「映画制作の未来のための検討会」では、映画制作現場の実態調査を踏まえ、映画産業の20年後、30年後を見据えた方策を検討している。日本の映画市場は2019年に興行収入が過去最高の2,612億円となり、入場人員数も48年ぶりに1億9,000万人を超えた一方で、公開本数は2000年時点の2倍以上に増加し、制作現場の人手不足や負担増大が懸念されている。映画制作現場スタッフの7割以上をフリーランスが占め、収入の低さ、長時間勤務、業界の将来性への不安が問題となっており、フリーランスの64.5%が発注書・契約書を受領していない状況である。制作会社においても質の高い人材確保の困難さや制作単価の低下が課題となっている。映画産業は国内市場の頭打ちと製作費低迷により就業環境が悪化し、コンテンツの質が低下する悪循環に陥っている。しかし、動画配信プラットフォーマーの台頭による海外市場進出の機会と働き方改革の推進という好機を捉え、デジタル技術の導入による工程管理・制作経理の効率化、制作現場の適正化を通じて好循環への転換を図ることが提案されている。具体的には、電子契約・勤怠・制作経理を連携したシステムの導入や、海外事例を参考とした労働環境の改善が検討されている。