令和元年度燃料安定供給対策に関する調査事業(石油製品荷卸し時のコンタミ事故防止対応等検討調査)報告書概要版

掲載日: 2021年4月20日
委託元: 経済産業省
担当課室: 資源エネルギー庁資源・燃料部石油流通課
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令和元年度燃料安定供給対策に関する調査事業(石油製品荷卸し時のコンタミ事故防止対応等検討調査)報告書概要版のサムネイル

報告書概要

この報告は、給油所における石油製品荷卸し時のコンタミ事故防止について書かれた報告書である。経済産業省資源エネルギー庁が令和元年度に実施した燃料安定供給対策に関する調査事業の成果をまとめたものである。

コンタミ事故とは、給油所でタンクローリーから石油製品を荷卸しする際に、油種の取り違え等により異なる油種が混入する事故である。特に灯油にガソリンが混入した場合は火災事故の危険がある。消防法に基づく立会義務が課せられているものの、いまだに事故が発生している状況である。

調査では品確法に基づく立入検査によるコンタミ事故事例を整理し、関係者への聞き取りを実施した。平成28年度から30年度にかけて、軽油への水の混入、灯油へのガソリン混入、ガソリンへの水の混入等の事例が確認された。事故の主な原因は、ローリー運転手の作業ミスや立会い不備等のヒューマンエラー、地下タンクや配管の腐食等の設備老朽化である。

コンタミ事故の防止に向け、元売り、給油所事業者、運送業者等の関係者による研究会を開催し、発生要因と今後の対応について検討を行った。研究会では、タンクローリーから給油所への荷卸し時における基本的事項を規定した安全対策基本マニュアルの策定について議論された。

研究会における主な意見として、法令上の立会義務の明記、最低限押さえるべき項目の優先順位付け、荷卸し前段階での確認の重要性、チェックリストの活用、事故発生時の対応と連絡体制の整備等が挙げられた。また、給油所立会者とローリー乗務員の相互協力の重要性も指摘された。

今後の対応として、ハイテクローリーや灯油専用ローリーの導入、中間バルブ廃止による一ライン化、油種ごとの注油口の色と鍵の統一等の改善策が検討された。しかし、これらには導入コスト、荷卸し効率の低下、各社ルールの調整等の課題がある。さらに、灯油通気管でのコンタミ判別機器の設置、ガソリン着色剤の変更、遮光性を下げた灯油缶の開発等の技術的対策についても議論された。