令和元年度福島沖での浮体式洋上風力発電システムの実証研究事業(撤去工法の検討等を評価するための委員会運営等に係るもの)報告書

掲載日: 2021年4月20日
委託元: 経済産業省
担当課室: 資源エネルギー庁省エネルギー新エネルギー部新エネルギー課
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報告書概要

この報告は、福島沖での浮体式洋上風力発電システムの撤去工法検討について書かれた報告書である。

2019年度に実施された本事業では、浮体式洋上風力発電設備の撤去工法を評価するため、日本海事協会常務執行役員を委員長とする5名の有識者による第三者委員会を設置し、全5回の委員会を開催した。野村総合研究所、吉田組、清水建設の3つのチームが提案した複数の撤去工法について、安全性と実現可能性の観点から客観的な評価を実施している。

委員会では、7MW風車と2MW風車それぞれに対して、曳航方式、解体場所、使用機材等の異なる工法が検討された。評価の結果、第4回委員会で各チームの提案工法を絞り込み、最終的に実現可能性の高い工法を選定している。主要な検討事項として、係留チェーンの安全な解除手順、長距離曳航時の安全性確保、気象海象条件を考慮した作業計画、許認可手続きの明確化などが挙げられた。

海外事例調査では、ポルトガルのWindFloatプロジェクトの撤去実績や、英国の着床式洋上風力発電における撤去計画と費用を分析している。WindFloatでは約400km曳航後に港湾で風車を解体し、設備の再利用により経済性を確保した事例が確認された。英国では法令に基づく撤去計画の提出が義務付けられており、プロジェクト規模により456万円から1586万円/MWの撤去費用が計上されている。

委員会における主要な指摘事項として、浮体特有の許認可手続きの調査、工法の安全性に対するマリンワランティーサーベイの検討、海象条件を考慮したウェザーウィンドウの設定、曳航時の安全対策と代替案の準備などが挙げられている。また、海外での解体処分を想定する工法については、バーゼル条約の適用性や責任の継承関係の明確化が必要とされた。