令和元年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(【中国】中国における事業環境に関する分析)調査報告書
報告書概要
この報告は、中国における事業環境に関する分析について書かれた報告書である。令和元年度の調査結果として、中国市場のビジネス環境と第三国協力の動向を総合的に分析している。
中国は高度成長期から安定成長期への移行に伴い、サプライサイド構造改革による質の高い持続的成長を目指しており、環境、省エネルギー、医療、化学品等の各分野で新たな規制導入など規制強化の傾向が見られ、事業環境の厳しさが増している。一方で、台頭する中間層の需要に応じた高品質で多機能かつコストパフォーマンスの高い商品・サービスが求められており、越境ECの発展と相俟って日本企業の商機も拡大している。
化学品及び環境分野では、相次ぐ危険化学品関連の重大事故を受けて危険化学品登記・管理制度の改革や化学工業園区の評価・集約などを通した規制強化が進められている。医療機器分野では機構改革や新たな審査制度の導入が行われ、医薬品分野では国際化への対応や薬品管理法改正が実施されている。化粧品分野においても監督管理条例の整備や試験業務規範の策定が進んでいる。越境EC分野では電子商務法の施行や輸入品目ポジティブリストの改訂など制度整備が加速している。
第三国協力については、中国企業の海外展開が活発化しており、一帯一路構想のもとで様々な協力プロジェクトが展開されている。エネルギー・環境分野を中心に日中第三国協力の具体的事例が増加しており、両国企業の強みを活かした相互補完的な協力関係の構築が進んでいる。中国企業は建設・製造業での実力を持ち、日本企業は技術力や品質管理において優位性を有しており、これらの特徴を組み合わせることで第三国市場での競争力強化が期待される。
今後のビジネス環境改善に向けては、法規制の周知方法の改善、企業の権利保護、監査の効率化、事故防止策の強化などが重要な課題として挙げられている。また、日中第三国協力においては制度課題の解消、意見交換メカニズムの構築、ヘルスケア分野での標準化に関する共同研究などが提言されており、両国間の協力関係のさらなる発展が期待されている。
