令和元年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(インド製造業の人材育成に関する調査)報告書

掲載日: 2021年4月22日
委託元: 経済産業省
担当課室: 貿易経済協力局技術・人材協力課
委託事業者: 株式会社パソナ
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報告書概要

この報告は、インド製造業の人材育成に関する調査について書かれた報告書である。経済産業省による令和元年度の国際経済調査事業として株式会社パソナが実施し、インドの製造業における日本式ものづくり学校(JIM)の拡大と人材育成制度の改善を目的としている。

調査背景として、インドは世界第7位のGDP規模を誇り、モディ政権の「Make in India」政策により製造業のGDPシェアを2022年までに25%へ向上させることを目標としている。しかし、インド進出日系企業の多くが質の高い現場人材の確保に苦慮しており、この課題解決のために2016年11月の日印首脳会談で「日印ものづくり技能移転推進プログラム」が立ち上げられ、10年間で3万人のインド製造業人材育成を目指している。

JIMは、インドに進出した日系企業が設置・運営する研修機関のうち、経済産業省が認定したものを指す。カイゼンや5S、日本式規律等を教え、将来的に製造現場の中核を担う人材を育成する学校として位置づけられている。認定要件として、日系企業による運営、平等な入学審査、1年以上の教育プログラム、日系企業の製造現場の知見と技能の教育、実践的実技研修の提供などが定められている。

調査では、ハリヤナ州とグジャラート州の日系企業23社と関連機関4件にヒアリング調査を実施し、さらに在印日系企業651社にオンライン調査を行った。その結果、インド国政府が実施する主要な職業訓練制度として、Apprenticeship Training SchemeやNEEM等が確認されたが、州政府独自の制度は見つからなかった。

ヒアリング結果から、JIM実施における課題として、ターゲティング面、コンテンツ面、人的資源、経済負担面の4つが整理された。解決策として、対象者の明確化、企業の人材ニーズに応じたプログラム設計、退職した人材の活用による講師確保、導入ファシリテーターによるハンズオン支援、アプレンティス制度活用による経済負担軽減などが提案されている。

最終的に、企業の実情に応じた3つのJIMモデルを提案している。モデル1は将来の現場リーダーをたたき上げで育成したい企業向け、モデル2は現場を知るスタッフ・マネージャー層を育成したい企業向け、モデル3はインドのものづくり人材育成に貢献したい企業向けとなっている。これらのモデルは、実施形態、学生の身分、期間、教育内容、講師、修了後の進路などが具体的に設計されており、多くの日系企業が自社の状況に適したJIM導入を検討できるよう配慮されている。