令和元年度商取引適正化・製品安全に係る事業(製品の経年劣化事故発生状況及び対策の検証事業)調査報告書
報告書概要
この報告は、家庭用製品の経年劣化事故予防について書かれた報告書である。
令和元年度に経済産業省の委託により実施された調査では、高齢化社会の進展に伴い製品の長期使用期間が延びることで経年劣化事故の増加が懸念される現状を踏まえ、現在の事故発生状況と予防策の検証が行われた。検討委員会は製造事業者、消費者代表、有識者計8名で構成され、3回の会合を通じて製品別事故発生状況の検証と今後の対策のあり方を検討した。平成21年度に創設された長期使用製品安全点検制度では、所有者登録率が40%弱、点検実施率が5.7%という低水準で推移しており、制度の実効性向上が課題となっている。
消費者アンケート調査では2000サンプルの有効回収により、家庭用製品の使用実態と消費者意識を分析した。高齢者世帯361サンプルを対象とした訪問調査では、注意喚起チラシを用いて長期使用製品の保有状況と買い替え意向を調査し、注意喚起効果を検証した。文献調査では国内外の経年劣化事故予防制度について、EU、ドイツ、フランスの取組みを含めて調査が実施された。
制度改善に向けた提言として、石油給湯機や石油ふろがまなど経年劣化事故発生率が高い製品については、主な使用地域である寒冷地の販売店への指導強化が必要であるとされた。具体的には自治体による立入検査対象店舗の見直しや、燃料店・水道工事事業者など小規模店舗への重点的な指導実施が提案された。また製品関係事業者との連携強化により、LPガス事業者や灯油販売事業者による所有者登録促進活動の拡大や、卸商を通じた販売店への協力要請などの取組みが示された。点検実施率向上策としては、タイムスタンプ点灯時のコールセンター利用促進や、保証期間延長・点検料割引などのインセンティブ提供が挙げられている。
