令和元年度産業技術調査事業(海外主要国における研究開発税制等に関する実態調査)調査報告書
報告書概要
この報告は、海外主要国における研究開発税制等に関する実態調査について書かれた報告書である。令和元年度に経済産業省からの委託により、KPMG税理士法人が実施した調査であり、我が国の研究開発税制の在り方と制度設計に向けた検討に役立てることを目的としている。調査対象国は、アメリカ、フランス、イギリス、オランダ、韓国、中国、および新たにドイツを加えた7カ国である。
OECDデータによる各国比較では、民間企業による研究開発投資に対する政府支援について、直接支援と税制インセンティブによる間接支援の割合を分析している。日本は政府支援割合が約0.15%でOECD中央値をわずかに上回り、税制インセンティブが84%を占めている。フランスは0.40%で2位、韓国は0.31%で4位と高い支援水準を示している。アメリカは0.22%で直接支援の比重が高く、オランダは0.18%で税制インセンティブが89%を占めている。中国は0.13%でOECD中央値に近い水準である。
各国の研究開発税制の詳細については、制度枠組み、対象費用の範囲、税額控除率、控除限度額、繰越・繰戻制度等を調査している。最近の改正動向では拡充傾向が見られる国が多く、法人実効税率や研究開発税制活用実績の推移も分析されている。特にドイツでは2020年から新たに研究開発税制が導入され、年間約13億ユーロの税収減が見込まれるが、研究開発投資の促進による経済効果が期待されている。