令和元年度産業技術調査事業(研究開発税制等の今後の在り方に関する調査)報告書

掲載日: 2021年4月27日
委託元: 経済産業省
担当課室: 産業技術環境局技術振興・大学連携推進課
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報告書概要

この報告は、経済産業省委託による研究開発税制の現状と今後の在り方について調査・分析した報告書である。平成29年度および平成31年度の税制改正により、研究開発税制は試験研究費の増減に応じた税額控除率の変動制度、第4次産業革命型サービス開発の対象追加、オープンイノベーション型の控除上限引き上げなどの見直しが行われたことを受けて、制度の政策効果と課題を検証することを目的としている。調査方法として、研究開発投資企業や税理士法人へのヒアリング調査、企業を対象としたアンケート調査、ミクロ・マクロ経済モデルによる効果分析を実施した。産学連携における課題では、オープンイノベーション型適用時の大学側負担として明細書・報告書作成と監査対応があり、企業側には監査費用負担が発生するという実態が明らかになった。第4次産業革命型サービス開発では、データ収集・分析・サービス設計・適用の4工程における専ら要件の判断基準や、外注開発費の適用範囲について具体的な事例が示された。アンケート調査結果では、オープンイノベーションを実施する企業が過半数を超える一方で、研究開発税制のオープンイノベーション型利用企業は20%程度に留まっていることが判明した。マクロ経済モデル分析により、研究開発税制による経済波及効果についてGDP押し上げ効果を定量的に測定し、研究開発投資の需要面での増加による経済拡大効果のメカニズムを検証した。今後の制度設計における課題として、恒久措置の安定的運用、オープンイノベーション促進のための契約書記載要件や監査手続きの緩和、デジタル経済化に対応した自社利用ソフトウェア開発の研究開発費扱い見直し、アジャイル開発における専ら要件の明確化が提言されている。