令和元年度経済産業省デジタルプラットフォーム構築事業(法人データ交換基盤の構築・運用に関する実証・調査事業)調査報告書
報告書概要
この報告は、経済産業省によるデジタルプラットフォーム構築事業として実施された法人データ交換基盤「gBizConnect」の構築・運用に関する実証・調査事業について書かれた報告書である。
報告書では、我が国の行政手続における添付書類撤廃の実現に向けた課題として、住民票や登記事項証明書等の各種書類提出要求がデジタル化を阻害している現状を指摘している。この課題解決のため、デジタルファースト、ワンスオンリー、コネクテッド・ワンストップの三原則に基づき、行政機関間や民間を含めた情報連携を可能とするシステム基盤の整備が必要であると述べている。
gBizConnectは、法人データを活用する電子申請システムと法人データストアの間で、インターネットを介したAPI連携を行う仕組みを基本としている。システム連携の負担軽減を目的として、データ連携処理や認証・認可、ログ記録等の共通機能をパッケージングしたgBizConnect Nodeを各参加システムに配布・配置する方式を採用している。また、開発者支援や情報提供を行うgBizConnect Portalも構成要素として含まれている。
開発手法については、アジャイル開発のScrumフレームワークを採用し、Sprint Planning、Daily Scrum、Sprint Demo、Sprint Retrospectiveの各プロセスを実施した。この手法により得られた知見として、要件や最終イメージの明文化の重要性、プロジェクト透明化の効果が挙げられる一方、適切なゴール設定の困難さや計画変更への柔軟性不足といった課題も明らかになった。
技術的検討としては、Cloud Foundryの活用可能性を検証し、利用規約の策定を行った。また、セキュリティ要件として政府機関の情報セキュリティ対策基準への準拠を求め、ネットワーク対策、マルウェア対策、Web対策等の実装を規定している。今後の展開として、参加システムの拡大に伴いPeer to Peer接続への発展可能性についても言及されている。
