令和元年度戦略的基盤技術高度化・連携支援事業(印刷産業における取引環境実態調査) 調査報告書

掲載日: 2021年4月28日
委託元: 経済産業省
担当課室: 商務情報政策局コンテンツ産業課
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報告書概要

この報告は、令和元年度に実施された印刷産業における取引環境実態調査について書かれた報告書である。日本の印刷産業はデジタル化・ペーパレス化の影響により右肩下がりの市場環境にあり、中小企業が大部分を占める業界構造から収益構造が厳しさを増している状況である。全国の印刷企業964社からアンケート回答を得て定量的な実態把握を行った結果、印刷需要の減少とともに設備稼働率が悪化し、供給過剰による受注単価下落により営業利益率が低下していることが明らかになった。一方で売上獲得のための営業機能や収益管理が十分でないとの課題認識も存在し、経営者の高齢化により事業承継のメドが立たない事業者が2割程度いるなど事業継続の課題も浮き彫りになった。ネット印刷の増加や官公需価格が単価下落要因として挙げられ、小ロット化による効率低下も課題として指摘された。しかし印刷そのものに留まらずフルフィルメントの提供やデザイナーとのコラボレーションなど事業領域を広げ提供価値を高める企業は相対的に良好な収益を上げていることも判明した。これらの調査結果を踏まえ印刷産業の持続可能な発展に向けた検討会を開催し、地域の異業種を含む企業連携によるコミュニティ形成と、デジタルトランスフォーメーションによる生産性向上を通じた印刷産業全体の底上げの方向性について議論が行われた。