令和元年度固定価格買取制度等の効率的・安定的な運用のための業務(固定価格買取制度の事業実施状況等の確認に関する調査)調査報告書
報告書概要
この報告は、固定価格買取制度(FIT)に基づく太陽光発電事業の実施状況と不適切事案の確認について書かれた報告書である。資源エネルギー庁が令和元年度に実施した調査により、太陽光発電設備の認定基準遵守状況や未稼働案件の実態を把握することを目的としている。調査は全国9エリアを対象に、認定設備容量20kW以上の稼働中太陽光発電所について、柵塀・標識の設置等の認定基準遵守状況を2人1組による現地調査で実施した。標本設計では都道府県と設備容量階級により層化し、4km四方の調査区から確率比例抽出により300件程度の発電所を選定している。調査の結果、多数の不適切事例が確認され、標識・柵塀の未設置や不適合のほか、構内設備の問題として基礎・架台の腐食や変形、パネルのねじれや歪み、ケーブル保護の不足などが発見された。また構内環境では不陸・雨水滞留、資材の残置、雑草の放置、廃棄物の投棄などが確認されている。これらの不適切事象は電気事故の発生要因となるだけでなく、地域社会との摩擦の原因にもなっており、FIT法第15条に基づく認定取り消しの可能性も指摘されている。調査では未稼働案件についても44件の現地調査を実施し、事業執行状況の把握を行った。報告書は発電事業者、金融機関、設計・施工事業者、保守点検事業者、地方自治体に対してそれぞれ注意喚起を行い、適切な運用・管理のための連携強化を求めている。
