令和元年度商取引・サービス環境の適正化に係る事業(バイオベンチャーの特性を踏まえた、非財務情報に基づく企業価値評価と上場制度の設計のあり方に関する調査)報告書
報告書概要
この報告は、バイオベンチャーの特性を踏まえた非財務情報に基づく企業価値評価と上場制度の設計のあり方について書かれた報告書である。経済産業省が伊藤レポート2.0「バイオメディカル産業版」の改訂版をとりまとめ、創薬・バイオをはじめとする投資先行型企業の視点からみた上場市場のあり方、投資家と企業をつなぐ機能の強化、投資家の増加に向けた施策の方向性について提言を行った背景のもと実施された調査である。本調査では、これまでの議論を踏まえ、各提言内容の具体化を図る上で必要な調査を行い、政策実行への落とし込みを目的とした。具体的には、非財務情報によるバイオベンチャーの評価・開示の方向性、健全な上場に向けたプロセスのあり方の検討、上場前後の資金調達手段の円滑化を図るための施策の方向性について調査・検討を実施した。さらに伊藤レポート2.0「バイオメディカル産業版」の普及活動として英訳を行い、官民合同での海外投資家向けイベントの企画・検討を行った。また、バイオベンチャーと投資家の対話促進研究会を2回開催し、政策的課題や解決策等を総合的に検討した。海外上場制度動向に関しては、香港市場や上海市場における先行投資型企業の上場基準制度を調査対象とし、適格投資家要件の導入プロセスや諮問機関の機能、新制度導入後の効果等について詳細な調査を実施した。投資家目線で求められる開示内容として、競合技術及び企業、アライアンス締結時の経済条件、現実的な市場規模、市場へのコミットメント、学会ポスターやプレゼン資料や論文等の項目を特定し、日米比較を通じて日本のバイオベンチャーの開示状況の課題を明らかにした。