令和元年度取引条件改善状況に関する調査等事業(決済に関するアンケート調査)調査報告書
報告書概要
この報告は、中小企業庁の委託により株式会社帝国データバンクが実施した、中小企業における決済に関する実態調査について書かれた報告書である。調査は2020年3月に実施され、全国の企業3,608社を対象として、主要な取引先の業種・業界、決済手段、回収サイト、支払条件の変化等について詳細な分析が行われた。
主な販売先として建設業が17.3%で最も多く、回答企業に建設業が多いことが影響している。一方、主な仕入先については卸売業が12.6%で最多となっている。売掛金の回収サイト決定方法では、建設機械産業や産業機械産業において「提供先が決定」の割合が68.8%、67.0%と極めて高く、取引先主導の決済条件となっている実態が明らかになった。
決済手段については、製造業は非製造業と比較して現金の割合が低く、手形の割合が高い傾向が確認された。特に鉄鋼業では手形による決済が80-100%の企業が10%を超えており、業種による決済手段の顕著な違いが浮き彫りになっている。支払条件の変化では、手形利用割合が高い製造業や卸売業において、ファクタリングや電子債権の増加が30-50%前後と比較的高い水準を示している。
手形サイトに関する意識調査では、売掛金については「短縮すべき」との回答が全体的に高い一方、買掛金については「現状のままでよい」が高くなっており、受取側と支払側で明確な意識の差が存在することが判明した。特に広告業、放送・コンテンツ産業、情報サービス産業では6-7割の較差が生じており、親事業者と下請事業者間の決済条件に対する認識ギャップが顕著である。
