平成31年度二国間クレジット取得等インフラ整備調査事業(CDMの運用に係る方法論及び信任に関する調査)報告書

掲載日: 2021年6月1日
委託元: 経済産業省
担当課室: 産業技術環境局地球環境連携室
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報告書概要

この報告は、CDM(クリーン開発メカニズム)の運用に係る方法論及び信任に関する調査について書かれた報告書である。我が国は世界規模での地球温暖化対策を進めるため、低炭素技術の普及等による温室効果ガス排出削減を適切に評価し、京都議定書に基づくCDMを補完する「二国間クレジット制度(JCM)」を推進している。本事業は、JCMと類似の市場メカニズムであるCDMに関する方法論及び指定運営機関等の議論動向を調査し、分析・評価を行うことで、JCMの在り方検討に資する情報収集を目的としている。

CDMプロジェクトの有効化プロセスは、個々のプロジェクトベースで起草されたプロジェクト設計書を指定独立運営組織が検討・評価することにある。プロジェクトの排出削減量算定手法及び適格性判断基準に関するベースライン・モニタリング方法論は、類似プロジェクトに関してある程度標準化され、CDM理事会の下に設置された方法論パネルにより検討されている。方法論パネルは当初10名メンバーで構成されていたが、提案方法論の増加及び複雑化に伴い15名に拡張され、その後京都議定書第1約束期間終了による業務低減を反映して再び10名となった。

2015年のパリ協定採択により、CDMと類似した「排出削減及び持続可能な開発に資するメカニズム」が定められ、方法論パネルの作業をはじめとしたCDMに関する理論的整備は新たな局面を迎えている。近年JCMの方法論整備、プロジェクト登録が進み、CDMの方法論整備は他のプロジェクトメカニズムを注視している状況である。報告書では第79回及び第80回方法論パネルの動向を詳述し、新規方法論としてライドシェアアプリによる輸送効率化、バイオマス関連方法論の改訂、都市間貨物輸送や都市内旅客輸送のモーダルシフト対策に関するツール等について検討結果を示している。CDMの信任に関しては、指定運営機関及び信任独立機関の申請・検討状況、信任手続きの策定・改訂等について調査し、JCMへのインプリケーションとして個別方法論及び横断的諸課題を整理している。