令和元年度地球温暖化問題等対策調査 (地球温暖化問題を巡る国際動向調査 (気候変動枠組条約(UNFCCC))) 調査報告書
報告書概要
この報告は、地球温暖化問題を巡る国際動向について書かれた報告書である。令和元年度に一般財団法人電力中央研究所が実施した調査により、気候変動枠組条約における交渉状況と主要国の動向を分析している。
報告書は2019年のCOP25における交渉結果を詳細に分析し、パリ協定第6条の実施指針やNDCの共通タイムフレームなど、2018年のCOP24で合意に至らなかった議題が継続審議となったことを示している。特に途上国支援関連の議題が多く残存し、適応のグローバル目標の具体化やプレ2020の扱い、衡平の具体化などが主要な争点となった。
主要国の動向については、米国の政策変化、EUの気候変動対策、中国の脱炭素化戦略、インドのエネルギー政策転換が詳しく検証されている。インドでは石炭火力発電の効率改善、原子力発電の拡大計画、電気自動車の普及促進、省エネ達成認証取引制度の実施など、多角的な気候変動対策が進められている。石炭課税の段階的引き上げや再生可能エネルギーの大幅な導入目標設定により、エネルギー構造の転換が図られている。
報告書は2020年のNDC提出を控えた重要な時期における国際交渉の複雑さと、各国の政策調整の困難さを浮き彫りにしており、パリ協定の効果的な実施に向けた課題と今後の展望を示している。
