令和元年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(スマートシティにおけるデータ流通に係る調査研究)最終報告書
報告書概要
この報告は、スマートシティにおけるデータ流通に係る調査研究について書かれた報告書である。我が国は国内外において「課題解決型」のスマートシティの構築を目標とし、Society5.0の実現に向けた社会課題解決および課題先進国としての解決策の「輸出」をビジョンとしている。課題解決型スマートシティの実現には、課題を起点とした全体設計と課題に包括対処できるサービスラインナップを揃える必要がある。既存のスマートシティは国内外ともに技術起点・偏ったサービスラインナップでの設計が目立ち、必ずしも課題解決型となっていない状況である。都市の課題を汲み取ったスマートシティでないことが、パーソナルデータの提供ハードルにも繋がっている。課題解決型スマートシティを内外で展開するためには、課題起点かつ包括的なサービスラインナップに目を配ったマスタープラン策定を担う「サービスインテグレータ」の機能強化が必要である。国内にはマスタープラン企画を担うプレイヤーが存在するが、カバー範囲が限られ知見が分散している。日本企業の海外進出の観点からも、これらのプレイヤーと横断的に組み、内外事例の知見を集積する機関を政府主導で構築することが有効である。さらに、パーソナルデータ提供の問題を解決し、DFFTのコンセプトを具現化したスマートシティとすべく、日本独自のデータ活用モデルとして情報銀行との連携を深化させる取組が求められる。国内規制の特徴である「包括同意」は、データの流通と信頭確保のバランスがとれ、スマートシティの文脈で活きる可能性がある。
