令和元年度産業経済研究委託事業(個人事業主・フリーランスの実態に関する調査)報告書
報告書概要
この報告は、個人事業主・フリーランスの実態について書かれた報告書である。三菱総合研究所が経済産業省の委託により実施した調査により、人口減少が進む日本において生産性向上とシニア世代の活躍促進を目的としたギグ・エコノミーの拡大が重要な政策課題となっている背景を踏まえ、フリーランスの働き方の実態を包括的に把握することを目的としている。調査は2020年2月から3月にかけてウェブアンケート形式で実施され、15歳以上75歳未満の対象者から144,342件のスクリーニング回答を得て、そのうち9,392件がフリーランスと判定され、最終的に7,478件の有効回答を収集した。調査結果によると、フリーランスの年齢構成は40代以上のミドル・シニア層が7割を占めており、働き方選択の理由として「自分の仕事のスタイルで働きたいため」が6割、「働く時間や場所を自由にするため」が4割となっている。満足度に関しては、仕事上の人間関係、就業環境、プライベートとの両立、達成感や充実感について7割以上が満足している一方で、収入について満足しているのは4割にとどまっている。また、フリーランスとして働く上での最大の障壁として「収入が少ない・安定しない」を挙げる者が6割に達しており、収入面での課題が顕著である。その他の障壁として人的ネットワークの構築機会の少なさ、仕事の不安定性、労働保護の不備などが指摘されている。この調査は、従来企業による雇用を前提として構築されてきた日本の産業人材政策や労働政策において、個人事業主・フリーランスという働き方の健全な活用と活躍促進のための省庁横断的な実態把握と課題抽出の必要性を示している。
