平成31年度商取引・サービス環境の適正化に係る事業 (次世代の消費・流通の在り方に関する調査)報告書
報告書概要
この報告は、次世代の消費・流通の在り方について書かれた報告書である。平成31年度に経済産業省から株式会社野村総合研究所が受託し、消費・流通の現状を整理するとともに、コンビニエンスストア業界の課題と将来のあり方を検討したものである。近年のテクノロジー進化により消費・流通の形態が急速に変化している中、利幅が狭く投資余力の小さい流通業では新技術導入が困難な状況にある。また、人口減少による人手不足や需要不足により、地域の店舗運営に支障をきたす可能性が指摘されている。本調査では、流通の現状調査、消費の現状調査、新たなテクノロジーに関する調査、検討会の運営という4つの事業を実施した。特にコンビニオーナー6,227人を対象としたアンケート調査では、3,628人から回答を得て、売上動向、運営コスト、競合状況、従業員確保、勤務実態、本部サポート、利益配分などの実態を詳細に把握した。その結果、最低賃金上昇による人件費高騰、同一チェーンやドラッグストアとの競合激化、深夜・早朝の人手不足、24時間営業の負担、本部サポートの不十分さ、利益配分制度への不満などが明らかになった。多くのオーナーが時短営業や見切り販売の自由化を求めており、後継者問題も深刻である。検討会では、コンビニが持続的に発展し社会的役割を果たすため、各社の行動計画策定と継続的見直し、政府によるフォローアップ、技術的支援、制度整備の必要性が議論された。特にRFID普及やAI技術活用による業務効率化、店舗の無人化・自動化推進が重要な課題として位置づけられた。本報告書は、関係者がそれぞれの立場で提言を実現し、日本独特のコンビニ業態が課題を克服して更なる発展を遂げることを期待している。
