令和元年度新エネルギー等の導入促進のための広報等事業(地方公共団体を中心とした地域の再生可能エネルギー推進事業(太陽光発電))報告書
報告書概要
この報告は、三重県における太陽光発電の長期安定運営と地域共生を目的とした広報等事業について書かれた報告書である。
平成二十四年に開始された固定価格買取制度により太陽光発電設備が急速に拡大したものの、小規模事業者を中心として適切な維持管理が行われていない課題があった。また、自然災害による故障や損壊、不適切な施工による問題が報告されており、長期安定発電が阻害されている状況にあった。平成二十九年四月に施行されたFIT法では事業計画認定制度となり、発電事業者に適切な事業実施が求められることとなった。
三重県では平成二十八年三月に改訂したエネルギービジョンにおいて太陽光発電の導入目標を設定し、普及啓発活動を行っている。しかし地域住民とのトラブルや環境問題が顕在化したため、平成二十九年七月に適正導入ガイドラインを策定した。四日市市においても公害対策の経験を活かし、平成三十年三月に太陽光発電施設設置ガイドラインを策定した。
本事業は三重県、四日市市、一般社団法人日本太陽光発電検査技術協会の三者連携により実施された。主な事業内容として、保守点検事業者データベースの拡充、発電事業者への実態把握アンケート調査、四日市市内施設の現地調査、広報事業、連携体制確立事業、スキルアップ事業を実施した。
データベース事業では登録要件を満たす九者が登録され、県ホームページで公開された。アンケート調査では四百四十一事業者のうち百二十社から回答を得て、ガイドライン提出状況や設備管理状況を把握した。現地調査では四日市市内の百十六施設を対象として看板設置やフェンス損傷等の確認を行った。スキルアップ事業では座学研修と実地研修を計六回開催し、太陽光発電の基礎知識から実践的な保守点検技術まで幅広く指導した。
事業の成果として、三者連携により充実した内容での研修実施が可能となり、実地研修が特に好評であった。保守点検事業者データベースは五者から九者に増加し、関係団体との連携により参加者増加が図られた。今後の展望として、データベースのさらなる周知、研修内容の拡充、市町との意見交換、連絡会議の継続開催等が計画されている。
