令和元年度大企業人材等の地方活躍推進事業(地域の中核企業による人材確保手法等の調査分析)報告書
報告書概要
この報告は、地方の中核企業による人材確保手法等の調査分析について書かれた報告書である。
近年、生産年齢人口の減少により国内の労働需給が厳しい状況となる中、特に地方部において労働力不足が深刻化している。一方で、東京をはじめとする大都市圏では、大企業に就職した若手人材が数年で退職する第二新卒も少なくないが、地方出身者であってもそのまま大都市圏にとどまる事例が多く見られる。この背景には、若手人材の求職方法と地方の中堅・中小企業の求人方法にミスマッチが生じている可能性がある。
本調査では、このミスマッチの解消に向けて、民間求人サイトに着目し、地域未来牽引企業を対象として実証調査を実施した。調査方法としては、文献調査や有識者ヒアリングによる現状把握、地域未来牽引企業へのアンケート調査、民間求人サイトを活用した中途・転職人材採用の実証調査、および広報事業を行った。
調査の結果、地方の中堅・中小企業は深刻な人材不足に直面しており、特に大卒人材の採用において大企業との格差が顕著であることが確認された。従業員1000名未満の中堅企業の大卒求人倍率は大企業の4倍以上となっており、地域別では関東以外の地域で採用充足率が低い状況となっている。また、人事部門の体制についても、中堅・中小企業では大企業に比べて十分でないことが明らかとなった。
実証調査では、民間求人サイトの活用により一定の成果が得られたものの、求人広告の作成や運用に関するノウハウの不足、採用予算の制約などの課題も浮き彫りになった。特に、企業の魅力を効果的に伝える求人広告の作成や、適切なターゲティングの重要性が示された。さらに、新型コロナウイルス感染症の影響により、リモートワークの普及やデジタル化の進展といった労働環境の変化も採用活動に影響を与えている。
