令和元年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(大阪トラック関連イベント運営業務一式)報告書DFFT:Paths Towards Free and Trusted Data Flows

掲載日: 2021年8月25日
委託元: 経済産業省
担当課室: 通商政策局国際経済課
委託事業者: WORLD ECONOMIC FORUM
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報告書概要

この報告は、データ自由流通と信頼(DFFT)について書かれた世界経済フォーラムの報告書である。2019年に安倍首相がダボス会議で提唱したDFFTビジョンの実現に向けた政策提言を包括的にまとめている。

報告書では、デジタル化が進む現代経済において、データ流通が国際貿易、産業生産、社会機能の基盤となっていることを示している。デジタル経済は主要新興市場の6倍の速度で成長し、G7諸国のGDPに匹敵する規模に達している。特に、製造業における データ利用は急速に拡大し、全投入要素の5-45%を占めるまでになっている。

一方で、国内規制の相違や制限的なデータ政策により、国境を越えたデータ流通は阻害されている。データローカライゼーション要件などの制限措置は、経済成長を最大1.7%押し下げ、生産性向上の機会を大幅に削減している。これらの制限は、サイバーセキュリティの向上にも寄与せず、むしろ攻撃の入り口を増やす可能性があることが指摘されている。

スマート製造業の事例では、IoT、5G、AIが融合した新たな産業システムが国境を越えたデータ共有を前提としていることが示されている。ドイツの「インダストリー4.0」や日本の「コネクテッドインダストリーズ」といった国家戦略も、国際的な技術標準と相互運用性に依存している。

報告書は、DFFTの実現に向けた具体的な提言を示している。政府は個人情報保護と非差別的なデータ移転メカニズムを両立させ、法執行目的のデータアクセスについて国際協力を強化すべきである。企業は透明性の向上により消費者信頼を獲得し、技術標準については市場主導の多国間協調アプローチが重要である。貿易協定においては、データ流通促進条項とデータローカライゼーション禁止規定を含めつつ、公共利益規制の裁量も確保すべきとしている。さらに、発展途上国への技術支援と中小企業のデジタル活用支援も不可欠であることが強調されている。