令和元年度エネルギー需給構造高度化対策に関する調査等事業(再生可能エネルギーの導入可能量及び電力系統整備の費用対効果等に係る基礎調査)報告書
報告書概要
この報告は、日本における洋上風力エネルギーの導入可能量及び電力系統整備の費用対効果について調査した令和元年度の報告書である。本調査では、自然条件と社会条件を考慮して洋上風力のポテンシャルを評価し、導入可能量を算出するとともに、電力系統整備に必要な費用対効果を試算している。
自然条件として風速6.5m/s以上、水深200m以浅、離岸距離22.2km以内の領海内を対象として洋上風力のポテンシャルエリアを抽出した。事業性評価では、着床式洋上風力と浮体式洋上風力それぞれについて、風速・水深・離岸距離に依存する発電コスト関数を設計し、水深30mまではモノパイル基礎、30-50mはジャケット基礎、50m以上は浮体式とする技術区分を設定した。社会条件として漁業権、自然公園区域、船舶通航量31隻/月以上の海域を考慮して導入可能な区域を特定した。
導入可能量の計算では、欧州の事例を参考に面積あたりの導入密度を低密度ケース5.2MW/km2と高密度ケース11.8MW/km2の2通りで設定した。発電コストは全国を対象として上限と下限から10クラスに分類し、着床式と浮体式それぞれの事業性を地域別に評価した。
電力系統整備の費用対効果試算では、発電コストが優秀で系統増強が課題となっている北海道と東北地域を対象とした。着床式はクラス7まで、浮体式はクラス4までの発電コストが優れたエリアを抽出し、現時点の空き容量を踏まえた導入可能量を算出した。系統増強費用は4つのケースを設定し、エリア平均値ケース、小規模増強ケース、一般負担上限額ケース、大規模増強ケースとして、それぞれ異なる単価で試算を実施した結果、導入規模と系統整備費用の関係を明確化している。
