令和元年度中小企業実態調査事業(中小企業・小規模事業者の経営課題等に関する研究委託事業)報告書
報告書概要
この報告は、中小企業・小規模事業者の経営課題等に関する研究委託事業について書かれた報告書である。令和元年度にみずほ情報総研が実施した本事業では、我が国経済の99.7%を占める中小企業・小規模事業者の実態把握と政策立案に資する情報収集を目的として、11回の勉強会が開催された。経済環境として、景気回復が戦後最長となった可能性がある一方で、少子高齢化による人手不足やデジタル化、グローバル化の進展により企業の収益構造見直しが迫られている状況が挙げられている。特に中小企業では経営者の高齢化が深刻で、1995年に47歳だった経営者年齢のピークが2018年には69歳となり、事業承継が急務となっている。勉強会では株式会社狭山金型製作所の大場治氏による微細加工技術を活かした海外展開事例、株式会社アテーナソリューションによる小規模事業者支援の重要性、拓殖大学山本尚史教授のエコノミックガーデニング理論、奈良県川上村の移動スーパー事業、第一勧業信用組合の地域連携金融、板橋区企業活性化センターの伴走型支援、ものコト100の若手経営者連携、株式会社シュークルキューブジャポンのアフリカ事業展開、経済産業省OBによるよろず支援拠点活用体験などが紹介された。これらの事例から、高付加価値追求による価格競争回避、海外展開における現地理解の重要性、他企業との連携効果、地域密着型サービスの意義、専門家ネットワークの活用、伴走型支援の有効性等が明らかとなり、今後の中小企業政策立案に向けた貴重な知見が蓄積された。
