令和元年度産業保安等技術基準策定研究開発等事業(高齢者行動データライブラリを活用したセイフティ・バイ・デザイン促進事業)報告書

掲載日: 2021年8月25日
委託元: 経済産業省
担当課室: 産業保安グループ製品安全課
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令和元年度産業保安等技術基準策定研究開発等事業(高齢者行動データライブラリを活用したセイフティ・バイ・デザイン促進事業)報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、高齢化社会における製品安全の向上を目指した高齢者行動データライブラリの活用と改良について書かれた報告書である。国立研究開発法人産業技術総合研究所が実施した令和元年度の産業保安等技術基準策定研究開発等事業として、高齢者の製品事故防止と安全な製品開発を促進するセイフティ・バイ・デザインの普及を目的としている。

事業の主要内容として、まず既存の高齢者行動ライブラリのユーザインタフェース改良を実施した。企業・団体からのアンケート結果を基に、文字入力による検索機能の追加、検索確定ボタンの表示位置修正、検索結果のリセット機能、お気に入り機能、2動画同時再生機能などを新たに実装し、操作性と機能性を大幅に向上させた。また、65歳以上の高齢者20名から新たに同意を得て日常生活行動の動画記録を取得し、ライブラリのデータ拡充を行った。

企業連携による実証実験では、4つのテーマで製品開発のベストプラクティス創出を図った。YKK AP株式会社との手すりの長さに関する実験、長谷川工業株式会社との脚立からの転落リスク実験、ケアスタディ株式会社との椅子比較による姿勢保持実験、リンナイ株式会社との入浴時の手すり位置・給湯リモコン実験を実施し、それぞれ具体的な製品改良につながる知見を得た。

製造事業者向けの「高齢者製品事故の検討会資料」策定では、有識者6名による委員会を3回開催し、高齢者の行動特性や周辺環境、ケアラーの存在等を踏まえた製品開発促進に資する内容をまとめた。この資料は将来的な民間規格・基準策定を視野に入れている。さらに、高齢者やケアラー向けの「高齢者製品事故防止に関するハンドブック」も作成し、より平易で理解しやすい内容とした。

今後の展望として、新たな規格・基準の整備・提案を掲げ、JIS規格やSG基準など様々な安全基準への展開を検討している。高齢者は機能変化により「古い大人ではない」というコンセプトのもと、ユニバーサルデザインの考え方を取り入れた製品開発の推進を目指している。