令和元年度産業経済研究委託事業(経済産業政策・第四次産業革命関係調査事業費(組織運営・経営戦略動向に関する調査事業))調査報告書(業務集約化)
報告書概要
この報告は、経済産業省におけるバックオフィス業務の効率化について書かれた報告書である。
経済産業省では、少子高齢化や厳しい財政制約、新興国との競争激化、震災復興対応といった重要課題に直面し、人手不足や働き方改革への対応が急務となっている。同省自身も職員の年齢構成の偏りや育児・介護負担を抱える職員の増加により厳しい状況にあり、組織運営の抜本的な見直しが必要である。
現状の分析では、各部局の業務管理官室や各課の総括係長・係員が担うバックオフィス業務において、事務代行、各課情報の取りまとめ、定型業務などの同種業務が各所に点在し、本来注力すべき業務以外の作業が多く存在していることが判明した。業務管理官室では人事関連業務や会計業務を、総括ラインでは情報のハブ機能や政策関連業務とともに庶務業務や問い合わせ対応も実施している。
民間企業や地方公共団体における業務効率化の取り組みを調査した結果、業務集約化、システム化、セルフサービス化、自動化の4つの施策が主流であることが確認された。これらの施策は2000年前後から段階的に導入され、特に給与計算業務や問い合わせ管理業務の集約化、人事・給与基幹システムの導入、チャットボットやRPAを活用した自動化が進展している。
経済産業省への適用においては、大臣官房配下に業務支援室を設置し、現在の業務管理官室業務と各課総括ライン業務の一部を集約することが提案されている。集約組織の運営では、既存部署の職員だけでなく他組織の職員も含めた要員配置により属人化を防ぎ、顧客別組織から機能別組織へと段階的に移行することで効率性を高める必要がある。また、定型業務中心の集約組織では職員のモチベーション管理が重要であり、明確なキャリアパスの提示と教育・研修機会の提供が求められる。
IT施策の実行では、職員データベースを共通基盤とし、各種申請システムによるセルフサービス化とRPA・チャットボットによる自動化を推進する。成功のためには職員の意識変革が不可欠であり、施策実行メリットの訴求、サポート環境の整備、システムのユーザビリティ向上が重要である。
