令和元年度産業経済研究委託事業(組織と人の変革を踏まえた雇用・労働政策に関する調査)調査報告書

掲載日: 2021年9月3日
委託元: 経済産業省
担当課室: 経済産業政策局産業人材政策室
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令和元年度産業経済研究委託事業(組織と人の変革を踏まえた雇用・労働政策に関する調査)調査報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、中長期インターンシップの効果検証について書かれた報告書である。本調査は、経済産業省が2020年に実施した「成長戦略フォローアップ」の一環として、企業と学生のより良いマッチングによる人材・産業の強化を目的とした包括的な調査研究である。デロイト トーマツ コンサルティング合同会社が受託し、1,200名のWebアンケート調査、先行研究調査、9社への企業ヒアリング調査を通じて、中長期インターンシップの効果を多角的に検証している。

調査の背景として、少子高齢化による労働力不足やテクノロジーの進化による仕事内容の変化、雇用のミスマッチや非正規社員の処遇問題などの社会課題が挙げられている。また、リアリティショックや早期離職、内定辞退などの求職者・求人者双方の課題解決が急務となっている状況が示されている。経団連の就活ルール撤廃や通年採用への移行といった就職・採用構造の変化も踏まえ、今後の時代にふさわしい就職・採用の在り方を検討する必要性が論じられている。

効果検証の結果、中長期インターンシップ経験者には、キャリア観の醸成、能力開発の促進、学習意欲の向上、入社後のリアリティショック低減、満足度向上などの効果が確認された。企業側には、採用効果・効率向上、優秀人材の獲得・定着、人材育成効果向上、組織活性化、即戦力活用・事業強化などの効果が認められた。特に、自身の適性理解の促進やキャリアプランの明確化、企業理解の促進、大学における学習意欲向上などが顕著に現れている。

三菱電機の事例では、2000年から一般公募を開始し、現在では年間約800名を受け入れる大規模なインターンシップを実施している。事務系約60テーマ、技術系約300テーマという多様なプログラムを提供し、産学連携と公募の両方を活用している。34拠点での実施と3,000人を超える社員の協力により、学生の専門性や志向に合わせた受入れを可能にしている。効果として、採用母集団形成と定着・活躍への寄与、キャリア意欲の向上、若手社員のアウトプット機会提供などが確認されている。