令和元年度原子力の利用状況等に関する調査事業(多核種除去設備等処理水の処分技術等に関する調査研究)調査報告書

掲載日: 2021年9月3日
委託元: 経済産業省
担当課室: 資源エネルギー庁電力・ガス事業部原子力発電所事故収束対応室
元の掲載ページ: 掲載元を見る
令和元年度原子力の利用状況等に関する調査事業(多核種除去設備等処理水の処分技術等に関する調査研究)調査報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、福島第一原子力発電所の多核種除去設備等処理水(ALPS処理水)の処分技術等について調査した報告書である。報告書では、ALPS処理水の長期的な取扱い方法決定に向けた検討に資する基礎的情報の提供を目的として、国内外の科学的情報および社会的影響に関する包括的な調査が実施された。

調査の主要項目として、ALPS処理水に関する報道分析が行われ、震災以降の関心度推移について新聞記事件数を指標とした分析が実施された。その結果、記事件数のピークは汚染水トラブルが多発した2013年から2014年に集中しており、2016年以降は記事内容が汚染水の処分問題へとシフトしていることが明らかとなった。また、カナダ、フランス、韓国、アメリカ、ロシアにおけるトリチウム放出量と環境モニタリング結果について詳細な調査が行われ、各国の規制実態や放出システムの現状が整理された。

被ばく線量評価については、UNSCEAR2016モデルに準じた評価手法を用いて、海洋放出および大気放出における被ばく線量の評価が実施された。評価対象として64核種を設定し、個人被ばく線量および集団被ばく線量の両面から詳細な分析が行われた。さらに、トリチウム分離技術の最新動向についても調査が実施され、技術的成立性に関する情報が整理された。報告書は、ALPS処理水の処分方法検討において、科学的根拠に基づく総合的な判断材料を提供することを目指している。