令和元年度エネルギー需給構造高度化対策に関する調査「インドにおける電動自動車普及政策に関する調査・分析」調査報告書
報告書概要
この報告は、インドにおける電動自動車普及政策について書かれた報告書である。インドは年間販売400万台を超える世界第4位の自動車市場を有するが、千人当たりの自動車保有台数は32台とOECD諸国平均の607台に遠く及ばず、今後の経済成長とともに自動車市場の更なる拡大が見込まれている。また、石油需要の大幅な増大により、エネルギー自給率の低下、環境問題の深刻化、CO2排出量の増加などの課題が生じており、これらの問題解決に向けてインド政府は電気自動車の普及を目指している。しかしながら、電気自動車の普及には車体価格や充電インフラの配備など多くの課題があり、さらに石炭火力が発電の中心であるインドの電源構成においては電力製造に伴う環境負荷についても考慮する必要がある。一方で、再生可能エネルギー普及に伴う電力安定供給への課題に対して、電力系統安定化のオプションとして電動自動車への期待は大きい。本調査では、インドにおける電動自動車の普及に向けた課題や、普及に伴うエネルギー需給構造や環境・経済への影響について定性的および定量的な情報を整理・分析し、インドの自動車・エネルギー政策の立案に資することを目的としている。加えて、今後益々発展すると見込まれるインド自動車市場の傍ら、自動車リサイクル産業の成長が見られていないことも課題として挙げられており、廃車処理システムの確立についても調査対象となっている。調査では文献調査、国内外でのヒアリング、インドでの現地調査を通じて基礎情報を収集し、2040年頃までのインドにおける経済社会やエネルギー需給構造を踏まえ、Well to Wheelの考え方に則り自動車CO2排出量を算定している。
