平成31年度二酸化炭素貯留適地調査事業委託業務報告書
報告書概要
この報告は、平成31年度二酸化炭素貯留適地調査事業について書かれた報告書である。本事業は、地球温暖化対策として重要なCCS(Carbon dioxide Capture and Storage)技術の実用化に向けて、日本周辺海域における二酸化炭素の地下貯留に適した地点を調査・評価することを目的としている。
報告書では、秋田沖、本荘沖、京都・福井沖、鳥取沖、茨城沖北部の5つの海域において弾性波探査を実施し、地下構造の詳細な解析を行った。特に鳥取沖では新規の2D探査を実施し、その他の地域では既存の探査データの再処理により地質構造の把握精度を向上させた。また、茨城沖北部では3D探査データを用いたAIインバージョン解析やAVOインバージョン解析などの高度な解析手法を適用し、貯留層の物性分布を詳細に推定した。
地質調査では、鳥取沖と茨城沖北部において地表地質調査と試料分析を実施し、貯留層および遮蔽層の岩石特性を評価した。海底地形判読や海底地質情報のコンパイルも行い、各調査地点の地質構造発達史や堆積環境を明らかにした。さらに、茨城沖北部と宮崎沖では貯留層シミュレーションを実施し、CO2の挙動予測や圧入条件の最適化を検討した。これらの結果に基づき、各地点の貯留適地としての評価を行い、技術要素と外的要素を総合的に判断して調査地点の優先順位を決定した。2020年度以降の調査計画では、総合評価の高い地点を対象とした詳細調査の実施方針を策定し、CCS技術の実用化に向けた具体的なロードマップを示している。
