令和元年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業 インバウンドとアウトバウンドの好循環創出に向けた調査研究報告書

掲載日: 2021年10月13日
委託元: 経済産業省
担当課室: 商務・サービスグループクールジャパン政策課
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令和元年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業 インバウンドとアウトバウンドの好循環創出に向けた調査研究報告書のサムネイル

報告書概要

この報告書は、インバウンド観光とアウトバウンドの好循環創出について経済産業省が実施した調査研究に関する報告書である。現代の消費者価値観が所有価値から経験価値への転換を示している背景のもと、本調査では地域の魅力を高めるための方法論を構築することを目的としている。調査は早稲田大学インバウンド・ビジネス戦略研究会により実施され、アンケート調査と現地訪問調査を通じて行われた。

報告書では、従来の大量生産・大量消費モデルから、消費者が感情による満足感や経験価値を重視する経済成長期への変化を分析している。デザイン経営による経済効果として、デザインへの投資が営業利益の4倍、売上の20倍、輸出額の5倍のリターンをもたらすことが示されている。また、顧客経験の改善が業界全体の増収に寄与していることも明らかにされている。

地域の魅力を高める全体像として、WHY、WHAT、HOWの観点から経験価値化、地域連携、高付加価値化・高価格化の方法論が提示されている。高付加価値化については、顧客の認知価値を機能的価値と情緒的価値の両面から構築すること、外部評価の活用、パーソナル感の演出、希少性の適切な伝達など7つの具体的手法が示されている。燕三条、倉敷児島、北海道、瀬戸内しまなみ海道、富山県などの事例調査を通じて、実践的な地域活性化の取り組みが分析されている。

インバウンド観光については、継続的な外貨収入や地域活性化といったチャンスがある一方で、適切な対応を行わなければ経済効果が国内に落ちない、言語・文化対応の課題、需要変動への対応困難などのリスクも指摘されている。これらのチャンスとリスクは表裏の関係にあり、適切な準備と対応により更なる機会創出が可能であると結論づけている。