令和元年度燃料安定供給対策に関する調査事業(LNG市場の柔軟性向上に向けた課題及び対応策に関する調査等)

掲載日: 2021年10月29日
委託元: 経済産業省
担当課室: 資源エネルギー庁資源・燃料部石油・天然ガス課
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報告書概要

この報告は、日本のLNG市場の柔軟性向上に向けた課題と対応策について書かれた報告書である。日本は世界最大のLNG消費国として世界需要の5分の1強を占める中、アジアを中心とした世界的なLNG需要拡大と米国・豪州・カタール・アフリカ等からの輸出量増加、さらに国内電力・ガス小売全面自由化の進展により、LNG調達構造が大きく変化している。こうした環境変化を受けて、経済産業省は平成28年5月に「LNG市場戦略」を発表し、仕向地制限の撤廃をはじめとした柔軟かつ透明性の高いLNG市場構築により、日本のLNG調達安定化と価格抑制・安定化を図る取組を推進している。

報告書では、2019年に世界全体でLNG生産プロジェクトへの投資決定容量が年間7100万トンと過去最大を記録し、豪州・米国・ロシアで年間4000万トン分の新規容量が稼働開始したことを示している。しかし、北東アジアの世界LNG市場におけるシェアは2018年の62%から55%に低下し、日本のシェアも25%から20%に減少した一方、欧州のLNG輸入が急拡大してブロックとして日本・中国を上回る状況となっている。スポットLNG価格は史上最低水準に低迷し、長期契約価格との大幅な乖離が鮮明となったため、契約条件の柔軟化と多様な売買取引が相次いで実現されている。

特に中国の需要急激な伸びによるスポット市場での価格不安定性上昇が顕著であり、今後のインドやアジア新興国での需要拡大とともに予見不可能性が高まる中、日本が安定的で合理的なLNG調達を行うため、厚みのあるLNG市場形成と価格ヘッジ機能の整備が急務となっている。