令和元年度質の高いインフラの海外展開に向けた事業実施可能性調査事業(ブラジル国南部リオグランデドスル州における低品位炭及びバイオマスのガス化による地産地消型化学原料製造事業の実施可能性調査)調査報告書

掲載日: 2021年10月29日
委託元: 経済産業省
担当課室: 資源エネルギー庁資源・燃料部石炭課
委託事業者: 株式会社IHI
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令和元年度質の高いインフラの海外展開に向けた事業実施可能性調査事業(ブラジル国南部リオグランデドスル州における低品位炭及びバイオマスのガス化による地産地消型化学原料製造事業の実施可能性調査)調査報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、ブラジル国南部リオグランデドスル州における低品位炭及びバイオマスのガス化による地産地消型化学原料製造事業の実施可能性について書かれた報告書である。株式会社IHIが経済産業省から委託を受けて実施した令和元年度調査の結果をまとめたものであり、同社が開発した二塔式ガス化炉(TIGAR)技術を活用して現地の低品位炭とバイオマスから尿素やメタノール等の化学原料を製造する事業の実現可能性を検討している。調査の背景として、ブラジル南部では天然ガス供給インフラが脆弱であること、RS州には灰分約50%の利用困難な低品位炭が豊富に賦存していること、農業大国であるブラジルでは肥料原料の多くを輸入に依存していることが挙げられている。調査では原料となる石炭とバイオマスの供給可能性、製品の需要と価格、競合技術との比較、プラント設計、事業体制とファイナンススキーム、経済性等について包括的に検討が行われた。石炭原料としてはBaixo Jacui炭とCandiota炭を、バイオマス原料としてはユーカリや松等を対象とし、製品としては尿素とアンモニアを想定したプラント設計と経済性評価を実施している。調査の結果、想定した小規模事業スキームでは事業化が困難であることが判明し、より安価な原料の確保、付加価値の高い製品への転換、公的支援の活用が必要であることが明らかとなった。一方で、大規模化により自立した事業となる可能性も確認されており、今後は農業残渣等のより安価な原料の調査、付加価値の高い製品の検討、バイオ燃料インセンティブ制度の活用等を通じた事業性向上への取り組みが課題として示されている。