令和元年度エネルギー需給構造高度化対策に関する調査等事業(緊急時の電力・ガス等の安定供給における早期復旧に向けた調査事業)報告書
報告書概要
この報告は、首都直下地震や南海トラフ地震等の大規模災害発生時における経済産業省の電力・ガス等の安定供給確保に向けた業務継続体制の強化を目的とした調査事業について書かれた報告書である。
本事業では、平成28年度より実施されている首都直下地震を前提とした訓練で明らかになった課題への対応として、南海トラフ地震も含む大規模地震発生時の優先業務に係る実施体制と動作対応の確認、および業務継続体制の実効性向上を図るための包括的支援が実施された。
事業の主要な取組として、大規模災害を想定したシミュレーション演習型訓練の企画が行われ、電力・ガス等の安定供給確保に向けた初動対応の実施体制および動作対応の確認・検証を目的とした訓練の企画・準備が実施された。また、発災後1ヶ月までの期間を想定したシナリオの作成が行われ、経済産業局および産業保安監督部における対応、関係省庁や事業者との連携の在り方について現実に即したシナリオが検討・設計された。
訓練設計では、南海トラフ地震について平日13時発災を前提とし、発災3時間後までを再現する演習①と、リソースが広範囲に枯渇する局面における政府としての判断が必要な内容を含む演習②が企画された。訓練対象は本省の官房対策PT、エネルギーPT、物資PTの主要構成員と、近畿、中部、四国、九州の経済産業局・産業保安監督部とされた。
さらに、大規模災害を想定したソフト環境の整備として、災害応急対策の実施に係るマニュアル等の収集と記載内容の不足点の分析、より効果的な対応検討に向けた企業や官公庁等における災害マニュアルの収集と過去の対応事例のヒアリングが実施され、既存マニュアルへの反映が行われた。
今後の取組として、本省の通常防災担当官や6km圏内防災担当官向けには年2回程度の訓練の継続実施と様々なシチュエーションへの対応能力獲得が、経済産業局・産業保安監督部向けには大規模災害発生時の期待役割の整理と各局・監督部との調整が必要であるとされている。
