令和元年度商取引・サービス環境の適正化に係る事業(諸外国におけるクレジットカード等に関する規制と国内事業者の与信審査等の実態に関する調査)
報告書概要
この報告は、令和元年度に実施された諸外国におけるクレジットカード等の規制と国内事業者の与信審査等の実態について書かれた報告書である。近年のICT進展に伴い、FinTech企業による決済サービスが拡大し、消費者ニーズに対応したサービスが成長している背景を受け、割賦販売法制の在り方を検討するため、海外の規制・監督状況と我が国における与信審査の実態情報を収集整理することを目的としている。国内調査では、クレジットカード会社とFinTech企業に対して法改正の方向性についての意見や後払いサービス事業者の状況整理を実施し、海外制度調査では欧州、英国、フランス、ドイツ、米国における与信規制の仕組み、信用情報機関の法的枠組み・実態、若年層の過剰与信防止措置等について調査を行った。国内後払いサービス事業者については、1か月以内の後払いサービスを提供する多数の事業者が存在し、年間数千億円の市場規模を有するとされている。これらサービスは割賦販売法の規制対象外であるが、平均決済単価は数千円程度で相応の規模を持つ。海外調査結果では、各国において与信規制の枠組みが整備されており、特に信用情報機関の活用や消費者保護措置が重視されている。欧州では消費者信用指令に基づく統一的な規制枠組みが存在し、英国では消費者信用法による包括的な規制が行われている。米国では連邦法と州法の双方による規制体系が構築されており、信用情報機関の利用についても詳細な規定が設けられている。これらの調査結果は、今後の我が国における割賦販売法制の検討において、性能規定の導入やリスクベースアプローチの採用、監督機関の専門性確保等の課題解決に向けた重要な示唆を提供するものである。
