平成31年度中小企業実態調査(中小企業・小規模事業者・商店街の取組事例に関する調査事業)調査報告書

掲載日: 2021年11月4日
委託元: 経済産業省
担当課室: 中小企業庁経営支援部技術・経営革新課
委託事業者: 凸版印刷株式会社
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報告書概要

この文書は、平成31年度中小企業実態調査における中小企業・小規模事業者・商店街の取組事例についてまとめた調査報告書である。

本調査は、事業承継や人手不足といった課題に直面する中小企業・小規模事業者の中から、技術開発や経営の創意工夫により成功を収めている優れた事業者を選定し、その事例を広く周知することを目的としている。選定された事業者は全国300社に及び、生産性向上、需要獲得、担い手確保の三つのカテゴリーに分類されて紹介されている。

生産性向上については、製造設備の導入による付加価値向上、IT活用による業務効率化、省エネ技術の開発などの取組が見られる。しかし設備投資における効率と品質のバランス調整、プログラミング技術の内製化の困難さ、データ入力人材の不足といった課題も指摘されている。機械化が進んでも最終的な品質確認は人が行う必要があり、完全な自動化は困難である実情が報告されている。

需要獲得では、展示会への参加、ウェブサイトやSNSの活用、特許情報の分析による営業展開などの手法が採用されている。下請け脱却を目指す企業では、メーカーとの直接取引獲得や自社製品開発が重要な戦略となっている。特に、自社の技術力を明確に発信し、間口を広げることで予想外の分野からの受注獲得に成功している事例が報告されている。

担い手確保については、ハローワークでの募集方法の改善、ホームページでの会社情報充実、フレキシブルな就業ルールの導入などが効果的であることが示されている。従来の雇用形態にとらわれず、子育て中の女性や高齢者、外国人材を積極的に活用する企業が増加している。また、多能工化の推進や職場環境の改善により離職率の低下を実現している企業もある。地域の学校との連携による職場体験の実施や、従業員教育におけるスキルマップの作成なども人材育成の重要な取組として挙げられている。

これらの成功事例は、中小企業が直面する共通課題に対する具体的な解決策を示しており、後進企業の模範となることが期待されている。