令和元年度安全保障貿易管理対策事業(我が国における重要鉱物の流通管理高度化調査)

掲載日: 2021年11月19日
委託元: 経済産業省
担当課室: 貿易経済協力局貿易管理部安全保障貿易管理政策課技術調査室
タグ: 貿易管理
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報告書概要

この報告は、希土類の流通実態と中国における生産・輸出管理動向について書かれた報告書である。省エネルギー社会の実現や再生可能エネルギーの導入加速に必要な省エネ機器や関連設備の製造において、レアメタル等の鉱物資源が必要不可欠であり、我が国ものづくり産業の高い産業競争力の源泉となっている。しかし、これらの鉱物資源は大宗を輸入に依存しており、供給の不確実性が常に存在するため、安定供給の確保が継続的かつ重要な課題となっている。

レアアースは17元素の総称であり、中国が大半の生産量を占めている状況が続いているが、近年では中国依存を脱却するサプライチェーン構築の動きが活発化し、中国のシェアは62.9%まで低下している。特に豪州のLynasによる生産開始や米国のMt.Passの再稼働が影響している。希土類鉱床は火成鉱床と風化鉱床に大別され、重希土類については中国の風化鉱床に位置するイオン吸着鉱が主な供給源となっており、重希土類は中国への依存度が高い状況である。

欧州では、EIT Raw Materialsが支援するREIAプロジェクトにより、2030年までに世界で30百万台の電気自動車が販売されると予測される中、NdFeB磁石の需要増加に対応するためのサプライチェーン強化プロジェクトが実施されている。バーミング大学では各種クリティカルマテリアルの代替技術開発とリサイクル技術開発を目指すBCSECMプロジェクトを実施し、水素脆化による回収技術の検討が行われている。電気自動車産業では供給リスク低減とコスト削減のバランスを取りながら、レアアース供給の多様化が課題となっている。