令和元年度地球温暖化・資源循環対策等に資する調査委託費(アジア・中東諸国の気候変動政策に関する調査・分析)報告書
報告書概要
この報告は、令和元年度に実施されたアジア・中東諸国の気候変動政策に関する調査・分析について述べた報告書である。本調査は経済産業省からの委託により実施され、主として三つの柱から構成されている。第一に、アジア・中東の主要国における気候変動及び関連エネルギー政策の動向を定期的に分析し、2019年11月から2020年3月までの期間における政策変化や重要な出来事を詳細に追跡している。第二に、シナリオ分析・評価として、統合評価モデルを用いた費用便益分析の課題抽出、最新の研究動向整理、Tipping elementsに関する研究動向の評価方法検討を行っている。これらの分析では、気候変動による経済被害の定量化手法の改善や、社会的炭素費用の算定における不確実性の評価が重要な焦点となっている。第三に、研究会や国際ワークショップの開催を通じたアウトリーチ活動により、研究成果の普及と国際的な知見共有を図っている。調査対象国では、中国における石炭火力電力料金の市場化改革や排出権取引制度の本格運用、インドの再生可能エネルギー目標達成の困難さと大気汚染問題の深刻化、東南アジア諸国におけるLNG火力発電への転換とエネルギー安全保障の重視などが主要な動向として確認された。これらの分析結果は、各国の気候変動対策と経済発展の両立を図る政策立案において重要な示唆を提供している。
