令和元年度省エネルギー促進に向けた広報事業 省エネルギー性能以外の価値(NEV: Non-energy-value)を活用した省エネルギー機器普及促進事業報告書

掲載日: 2022年12月7日
委託元: 経済産業省
担当課室: 資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部省エネルギー課
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令和元年度省エネルギー促進に向けた広報事業 省エネルギー性能以外の価値(NEV: Non-energy-value)を活用した省エネルギー機器普及促進事業報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、省エネルギー機器の普及促進を目的として省エネ性能以外の価値(NEV)を活用した情報発信の効果について分析した報告書である。

LED照明器具、電気冷蔵庫、エアコン、電気温水機器、温水洗浄便座を対象とし、特にLED照明器具に関して詳細な実証実験を実施した。POSデータを用いた分析では、市場に流通するLEDシーリングライトの機能や性能を整理し、ヘドニック価格関数の推定により各属性に対する消費者の支払意思額を算出した。その結果、調光機能や光色変更機能といったNEVが製品価格に与える影響を定量的に把握することができた。

コンジョイント分析により、消費者がLED照明の各属性に対してどの程度の価値を感じているかを調査し、省エネ性能と併せてNEVの支払意思額を算出した。有効な情報発信方法の検討では、LED照明の普及阻害要因を調査し、行動科学の知見を活用したナッジメッセージを開発した。

実証実験では、NEVと省エネ性能を訴求する情報がLED照明の購入意向に与える効果を検証した。その結果、調光機能や長寿命といったNEVを訴求することで、一定の購入促進効果が確認された。ただし、効果の大きさは訴求方法や対象者の属性により異なることが明らかとなった。

他の家電製品についても同様の分析を実施し、各製品特有のNEVに対する支払意思額を算出した。これらの結果は、今後の省エネ機器普及促進政策の立案において、経済的合理性だけでなく多様な価値を訴求する情報発信の重要性を示唆している。