令和5年度中小企業実態調査委託費(飛躍的成長を遂げた中小企業等に関する調査委託事業) 報告書
報告書概要
この報告は、飛躍的成長を遂げた中小企業等に関する調査について書かれた報告書である。中小企業庁が令和5年度に実施した調査で、売上高100億円以上または300億円以上に成長した企業の特徴と成長要因を分析している。東京商工リサーチの企業データベースを活用し、100億円成長企業5,674社、300億円成長企業1,918社を対象として、業種分布、従業員数、資本金、上場状況、資金調達方法などの観点から分析を行った。業種別では製造業と卸売業・小売業が多く、地域別では東京都で多様な業種が見られる一方、地方では製造業の比率が高まる傾向が確認された。従業員数については成長前後で増加している企業が多く、資本金では成長企業の多くが増資を実施していた。上場企業の比率は100億円成長企業で約10%、300億円成長企業で約18%にとどまり、成長と上場の相関関係は限定的であった。資金調達では成長に伴い借入依存から内部留保活用へと変化する傾向が見られた。成長企業と停滞企業の比較分析では、成長企業が従業員数、有形固定資産、研究開発費において積極的な投資を行っている可能性が示唆された。今後はより精緻な分析手法を用いた研究の必要性が指摘されている。
