令和5年度ユニコーン創出支援事業(エンジェル投資の促進に向けたエンジェル投資家の実態等に係る調査)事業報告書
報告書概要
この報告は、令和5年度に実施されたエンジェル投資の促進に向けたエンジェル投資家の実態等に係る調査について書かれた報告書である。エンジェル税制の大幅な改正を受け、株式譲渡益を元手とした再投資について20億円を上限に非課税とする改正が行われたことを背景として、エンジェル投資家の実態把握と政策的示唆の獲得を目的として調査が実施された。調査は、エンジェル・カンファレンス2023の参加者177名を対象としたWebアンケート形式で行われ、43名から回答を得た。
調査結果から、エンジェル投資家の約6割が40代、30代と40代を合わせると全体の8割を超えることが明らかとなった。主な職業では経営者が最も多く半数以上を占め、比較的若くして経営者として成功し、経営を続けながらエンジェル投資を行うケースが多いことが判明した。投資家の9割が金銭以外のサポートを行っており、経営アドバイスやメンタリング、人材紹介など、ネットワークや専門性を活かした支援を提供している。投資実態については、1件あたりの投資金額は100万円以上500万円未満が最多で半数近くを占め、年間投資件数は3件以下が最多であった。
投資目的として9割以上がリターンを求めているが、業界の発展や若手育成といったエコシステムへの貢献も重要な目的となっている。現時点でリターンが出ている割合は0-10%が4割超で最も多く、エンジェル投資のリスクの高さが改めて浮き彫りとなった。投資家の普段の拠点は85%以上が東京近郊に集中しており、投資先の探し方も友人・知人からの紹介やベンチャーキャピタルからの紹介など、クローズドな人的ネットワークが主流である。
近年注目されている新株予約権については、現行のエンジェル税制では対象外であるが、エンジェルラウンドにおける活用が増加している傾向が確認された。エンジェル税制の認知度は高く、令和5年度税制改正で創設された非課税特例については7割超が利用意向を示している。一方で、手続きの簡素化に対する要望が最も多く、利便性向上に係る継続的な取組の必要性が示唆された。