令和5年度地球温暖化・資源循環対策等に資する調査委託費(東京湾岸におけるグリーンイノベーション基金事業の効果的実装に向けた相互影響分析調査)調査報告書

掲載日: 2024年4月10日
委託元: 経済産業省
担当課室: 産業技術環境局エネルギー・環境イノベーション戦略室
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令和5年度地球温暖化・資源循環対策等に資する調査委託費(東京湾岸におけるグリーンイノベーション基金事業の効果的実装に向けた相互影響分析調査)調査報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、東京湾岸地域における2050年カーボンニュートラル実現に向けたグリーンイノベーション基金事業の効果的実装に関する相互影響分析について書かれた報告書である。

本調査では、東京湾岸地域をモデルとして現状と2050年カーボンニュートラルのギャップを埋めるための必要な取組について初期的検討を行った。調査対象範囲として、神奈川沿岸エリア(川崎市~横浜市)と千葉沿岸エリア(市原市~君津市)の2つの地域を設定し、グリーンイノベーション基金技術を中心とした検討を実施した。

勉強会は計4回開催され、技術・ビジネス・政策の3つの視点から今後求められるイノベーションポイントを検討した。対象技術については、水電解水素製造、製鉄プロセスでの水素活用、燃料アンモニアサプライチェーン構築、CO2を用いたプラスチック原料製造、次世代型太陽電池開発など、参加者が取り組むグリーンイノベーション基金事業の技術を中心に整理された。

海外事例調査では、ロッテルダム港、アントワープ・ブルージュ港、ハンブルク港、シンガポール港などの主要港湾において、産業排出CO2の回収・貯留、水素エコシステム構築、グリーン水素製造、運輸設備への水素活用等の取組が推進されていることが確認された。これらの事例は東京湾岸地域でのカーボンニュートラルシステム構築の参考となる知見を提供している。

絵姿作成においては、輸入燃料価格の高騰により国内再生可能エネルギーが競争力を持ち電化が加速する一方、水素・アンモニアや合成メタン・合成燃料といったカーボンニュートラル燃料が補完的に輸入される将来像が描かれた。また、CO2配管の設置によるCCUSの最適利用、水素配管の拡充による多部門への水素導入、地域横断的なエネルギー需給最適化などが重要な要素として挙げられた。イノベーションポイントとしては、時間的・資源的・物理的・技術的・経済的・人的制約の観点から今後検証すべき要素が整理され、2050年カーボンニュートラル達成に向けた課題が明確化された。